12の精霊核

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interlude 2(テレネンセスの空)

 ずいぶん、おなかがすいたと思ったら、太陽が空の真上に昇っていますよ。ちょっとだけ、休憩しにジーゼと一緒に森の高台に行ってみましょうか。ジーゼのいる場所から、細い小道を抜けてのんびりと歩いてゆくと、ささやかな展望台からテレネンセスを臨めます。馬車が街道を駆け抜け、忙しなく行商が行き来する。昔の面影を所々に残しつつ、新しいものを取り入れて大きくなったのが今のテレネンセス。けど、ジーゼの思い出も、エルフの森も経年を越えて変わりません。
 そう、みんな、み〜んなが見上げた空は時が移ろっても変わっていないとジーゼは言います。ずっと昔、久須那とサムが飛んだ青い空を、ジーゼと申がその下をトボトボ歩いた灰色の空をあなたは見ているんです。シルフの奏でる風の音も、サラサラ流れるウンディーネの調べも遠くなってしまったけれど、その彼方には……。みんなの面影が残っていますよ。
 さて、物語はいよいよ後半。ジーゼの哀しみはより深く、伝えたい思いはより強烈に。あ、でも、お昼ご飯が先ですよ。慌てない、慌てない、ジーゼは逃げませんから……。